ヒト皮膚疾患モデル
StratiCELL(ベルギー)は、皮膚科学に特化したCROであり、医薬品や化粧品の研究開発のために、独自のin vitro皮膚疾患モデルを開発しています。すべてのモデルはヒト試料を使用し、3D再構築表皮(RHE)、初代細胞、3D全層皮膚モデル(FSE)および新鮮な皮膚に基づいたモデルがあります。充実した解析技術ポートフォリオおよび経験豊富な研究チームを活かし、受託研究サービスとして被験物質の生物学的な影響を解明しています。
- 多数の独自開発のヒト皮膚疾患モデルあり
- 独自の技術ならびに既存技術による解析が可能
- 皮膚科学における15年以上の研究活動履歴
- 1,000件以上の受託プロジェクト実績
- 皮膚疾患の専門研究チームは試験計画や
結果解釈についても支援を提供
ヒト再構築表皮(RHE)でのバリア機能評価アッセイ
培養技術
多くの皮膚疾患モデルは、ヒト由来の初代ケラチノサイトから作製した3D再構築表皮(Reconstructed Human Epidermis、RHE)を用いています。RHEは、in vivo表皮の組織構造および主な皮膚機能の特徴を再現しています。社内のヒト試料バンクには、様々な人種やフォトタイプのドナーの細胞が保管されており、これらを用いてRHEを作製しています。その他に、ヒト初代細胞、真皮層と表皮層の2 層を有するヒト3D全層皮膚(Full Skin Equivalent、FSE)及び新鮮なヒト皮膚(ex vivo explant)を使用したモデルがあります。
解析技術
皮膚疾患モデルにおける生物学的な現象を評価するために、様々な特殊な解析技術を駆使しています(詳細は各モデルの情報参照)。IHC、ELISA、PCR、GeneChip® 等の標準的な解析も実施しています。独自のデータベース「StratiCELL Skin Knowledge Database」は、3,500の皮膚科学関連遺伝子から構成されており、50種類の研究分野に対してキュレートしています。これにより遺伝子発現変化の迅速な解釈が可能になります。また、独自開発のTLDAアレイは、特定の皮膚科学関係テーマに絞ったmRNA発現解析に有用です。TLDAの詳細ページは以下のボタンをクリックして下さい。
皮膚疾患モデル一覧
皮膚疾患 | 培養 | 組織 / 細胞種 | モデル特徴 | |
アトピー性皮膚炎 | 3D | ヒトRHE | アトピー性皮膚炎の病態を再現できます。①Th2サイトカインを介した炎症状態、②細胞間結合の喪失(海綿状変化)および脂質分泌の減少によるバリア機能の低下 | 詳細 |
2D | ヒト表皮ケラチノサイト | アトピー性皮膚炎における炎症状態の特徴を再現できます。 | ||
乾癬 | 3D | ヒトRHE | 乾癬の特徴を再現できます。①ケラチノサイト増殖による過形成、②不全角化、③乾癬患者にも見られる遺伝子発現の変化等 | 詳細 |
2D | ヒト表皮ケラチノサイト | 乾癬における炎症状態の特徴を再現できます。 | ||
創傷治癒 | 2D | ヒト皮膚線維芽細胞 or ヒト表皮ケラチノサイト |
細胞増殖と移動を含め、再上皮化のプロセスを再現できます。 | |
疼痛・掻痒 | 3D | ヒトRHE + ヒト感覚神経 |
RHE基底細胞の付近に、感覚神経細胞のネットワークを構築することにより、ケラチノサイト / 感覚神経細胞間のコミュニケーションを再現できます。 | 詳細 |
2D | ヒト感覚神経細胞 | ヒト感覚神経細胞の神経伝達物質分泌などに対する被験物質の直接的な影響が評価できます。 | ||
白斑症 | 3D | ヒトRHE + ヒトメラノサイト |
白斑症患者に見られる、基底膜からのメラノサイト流出(melanocytorrhagy)及び遺伝子発現の変化を再現できます。 | 詳細 |
痤瘡(アクネ) | 3D | ヒトRHE | アクネ菌(Cutibacterium acnes)のヒト表皮に対する定着を再現できます。被験物質は、アクネ菌の接着と成長に及ぼす影響および、感染による遺伝子発現の変化が確認できます。 | 詳細 |
2D | ヒト表皮ケラチノサイト | 3Dモデル同様、アクネ菌(Cutibacterium acnes)のヒト表皮に対する定着を再現できます。被験物質は、アクネ菌の接着と成長に及ぼす影響および、感染による遺伝子発現の変化が確認できます。 | ||
2D | ヒト脂腺細胞 | 脂腺細胞による皮脂の過剰産生を再現できます。 | ||
脂漏性皮膚炎、 フケ症 |
3D | ヒトRHE | 癜風菌(Malassezia furfur)のヒト表皮に対する定着・異常増殖を再現できます。脂漏性皮膚炎やフケ症に関連しています。 | 詳細 |
急性炎症 | 3D | ヒトRHE | 細菌感染モデル。Toll様受容体(TLR)2と6をMALP-2で刺激することにより、細菌感染時の表皮の自然免疫及び炎症反応を再現できます。 | 詳細 |
2D | ヒト皮膚線維芽細胞 or THP-1セルライン |
細菌感染モデル。Toll様受容体(TLR)4をLPSで刺激することにより、細菌感染時の皮膚細胞の炎症反応を再現できます。 | ||
2D | ヒト表皮ケラチノサイト | 日焼けモデル。長波長紫外線(Ultraviolet A radiation)暴露による皮膚細胞の炎症反応を再現できます。 | ||
2D | ヒト表皮ケラチノサイト | 急性炎症全般モデル。TNFαもしくはPMAの刺激により皮膚細胞の炎症反応を誘導し、それに対する被験物質の抗炎症効果を評価できます。 | ||
正常 | 3D | ヒトFSE(線維芽細胞 + ケラチノサイト) |
ヒト全層同等皮膚(Full Skin Equivalent、FSE)は、真皮層および表皮層の2 層を有する立体的な皮膚モデルです。 | |
3D | 新鮮なヒト皮膚 | 手術由来の新鮮な皮膚を倫理的に取得し、ex vivo explantとして培養します。ヒト皮膚に一番近いモデルを必要とするアッセイに使用しています。 |
化粧品研究モデル一覧
分野 | 培養 | 組織 / 細胞種 | モデル特徴 | |
皮膚色素沈着 | 3D | ヒトRHE | 日光性黒子(老人性色素斑)における色素増加および表皮細胞の過剰増殖を再現します。 | 詳細 |
3D | ヒトRHE + メラノサイト |
被験物質の正常な皮膚色素沈着に対する影響を評価できます。フォトタイプI~Vの皮膚に由来しているメラノサイトから選択可能です。 | 詳細 | |
2D | ヒトメラノサイト | フォトタイプI~Vの皮膚に由来しているメラノサイトを使用して、皮膚色素沈着に対する被験物質の影響を評価できます。エンドポイント:①メラニン定量、②皮膚色素沈着関連のバイオマーカー定量。 | ||
皮膚老化 | 3D | ヒトRHE | 日光性黒子(老人性色素斑)の形成を再現します。 | 詳細 |
2D | ヒト皮膚線維芽細胞 | 糖化反応性試薬への暴露により終末糖化産物(Advanced Glycation End Products、AGE)の生産を誘発できます。エンドポイント:CMLを含みAGE及びAGE受容体の定量。 | ||
2D | ヒト皮膚線維芽細胞 | 細胞外マトリックス(ECM)の変化を評価できます。エンドポイント:ECMバイオマーカーの定量。 | ||
環境汚染と 光による障害 |
3D | ヒトRHE or 新鮮なヒト皮膚 |
シクロブタン型ピリミジン二量体 (CPD)の形成 を介した紫外線によるDNA損傷を再現できます。エンドポイント:CPD定量。 |
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3D | ヒトRHE | 紫外線に暴露された表皮の酸化ストレスを再現できます。エンドポイント:活性酸素種(ROS)定量。 | ||
2D | ヒト表皮ケラチノサイトor ヒト皮膚線維芽細胞 |
紫外線と様々な汚染物質を組み合わせた刺激により、皮膚細胞の酸素ストレスを誘発できます。エンドポイント:活性酸素種(ROS)定量、酸化ストレスに対抗するパスウェイの誘導測定。 | ||
2D | ヒト表皮ケラチノサイトor ヒト皮膚線維芽細胞 |
紫外線暴露による皮膚細胞の酸化ストレスを再現できます。エンドポイント:炎症関係バイオマーカーの測定。 | ||
2D | ヒト表皮ケラチノサイト | 汚染物質に暴露された皮膚細胞の解毒作用を再現できます。エンドポイント:AhRパスウェイ誘導の測定。 | ||
脂質代謝 | 2D | ヒト白色脂肪細胞の 前駆細胞 |
脂質合成の定量ができます。エンドポイント:ナイルレッド(Nile Red)染色による脂質測定。 | |
皮膚水和と バリア機能 |
3D | ヒトRHE | 化学物質への暴露による皮膚のバリア機能低下を再現できます。エンドポイント:経表皮Lucifer Yellow Dye Diffusionアッセイによるバリア機能解析。 | |
3D | ヒトRHE | 炎症による皮膚バリアの機能低下を再現できます。エンドポイント:経表皮Biotin Diffusionアッセイによるバリア機能解析。 | ||
2D | ヒト表皮ケラチノサイトor ヒト皮膚線維芽細胞 |
皮膚水和度とバリア機能の主なバイオマーカーに対する影響を評価できます。エンドポイント:バイオマーカー測定。 | ||
血管新生 | 2D | ヒトHUVEC細胞 | HUVEC細胞の血管形成による血管新生を再現します。皮膚の血管新生は、目の下のクマ、顔の酒さ、創傷治癒などに関連しています。 |
StratiCELL社は、15年にわたり皮膚疾患のモデルの受託研究サービスを提供しています。お客様の研究目標に合わせてプロジェクトごとにカスタマイズしています。同社の皮膚疾患専門研究チームは、モデル選定、試験計画や結果解釈についてもご支援を致します。試験終了後に、結果解釈付きの報告書及び生データを提供しています。詳細は、当社までお問い合わせください。