
MutaTracker
変異原性と遺伝毒性メカニズムの評価
- 単一アッセイで遺伝毒性メカニズムの特定と変異頻度・スペクトルの定量が可能
- 1/107塩基レベルの低頻度変異を検出
- 遺伝毒性に対する高い予測精度:感度94%、特異度95%
- 従来の遺伝毒性試験(Ames試験、マイクロニュークレウス試験など)と高い相関
- 約15 mgの化合物にて測定可能
技術概要
MutaTrackerは、Toxys社の独自技術であるToxTracker®と、エラー補正型次世代シーケンス技術であるSMM-seq(Single-Molecule Mutation Sequencing)を組み合わせた評価系です。ToxTracker®は、レポーター細胞株を用いて活性化された遺伝毒性パスウェイを同定します。SMM-seqは、突然変異頻度およびスペクトルを定量的に解析し、極めて低頻度の変異を高い信頼性で検出することが可能です。
ToxTracker®は、6種類の蛍光レポーター遺伝子を用いて、DNA損傷、酸化ストレス、タンパク質損傷、細胞全体のストレスなど、遺伝毒性に関連する細胞応答の活性化をモニタリングします。レポーターの活性化はフローサイトメトリーにより定量されます。
SMM-seqは、ローリングサークル増幅(RCA)を基盤とした技術です。分析対象DNAの断片にヘアピン状アダプターを連結することで環状構造を形成し、各DNA鎖の複製コピーを多数生成します。真の変異は、両鎖のすべてのコピーに一貫して現れることでアーティファクトと区別されます。
MutaTrackerプロトコル
Week 1 (Dose range finding): 用量設定試験により、ToxTracker®および SMM-seq アッセイに最適な濃度範囲を特定します。Week 2 (ToxTracker®): 6種類のレポーター細胞株に対し、5段階の試験物質濃度(±S9)で24時間曝露を行います。蛍光レポーター遺伝子の誘導はフローサイトメトリーで評価します。Week 3–5 (SMM-seq): ToxTracker® の親細胞株に対し、試験物質を3濃度で4時間曝露します。その後、細胞は5日間培養され、単離したDNAをSMM-seq により分析します。Week 6–7 (Data analysis): ToxTracker® および SMM-seq のデータを解析し、遺伝毒性とその潜在的なメカニズムを評価したうえで、報告書を作成します。
サンプルデータ
以下の結果は、MutaTracker が代表的な染色体構造異常誘発物質(Clastogen)、異数性誘発物質(Aneugen)および酸化剤(Oxidizing agent)を対象として、それぞれの遺伝毒性メカニズムと突然変異の結果を識別できることを示します。
6種類の ToxTracker®レポーター遺伝子の活性化パターンに基づき、遺伝毒性の作用メカニズムを予測することができます。SMM-seq データは、1塩基置換スペクトルを含む突然変異頻度に関する情報を提供します。ToxTracker®においては、いずれかのレポーター遺伝子の発現が2倍以上(破線)に誘導された場合、試験物質は「遺伝毒性あり」と分類されます。SMM-seq においては、変異頻度が溶媒対照と比較して有意に増加した場合、試験物質は「変異原性あり」とみなされます。試験報告書には、プロトコルの詳細、用量設定試験の結果(細胞毒性を含む)、バイオマーカーのデータ、有害影響の観察される最小量(LOAEL)、および突然変異スペクトルが含まれます。
MutaTrackerは、Toxys B.V.(オランダ)にて受託試験サービスとして提供しています。
- 被験物質の種類:化合物、化粧品成分、食品成分など
- 被験物質の必要量:約15 mg
- 可能な溶媒:水、DMSO、PBS等
- 納期:試験開始から報告書の提出まで7~8週間
同社は、新規化合物等の安全性評価に特化しており、遺伝毒性や発生毒性のメカニズムについての情報を得るための同社独自の技術ならびに標準技術を提供しております。研究目標に応じて、試験のデザインの調整が可能です。詳しい情報については、当社までお問い合わせください。
文献
ポスター | ||
発表年 | 詳細 | |
2024 | A novel approach method combining GFP reporter cell lines with error-corrected next generation sequencing for in vitro genotoxicity assessment of N-nitrosamines. | 閲覧 |
2022 | MutaTracker, a new approach method to measure gene mutations using error-corrected NGS to gain understanding of the genotoxic mode of action. | 閲覧 |